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インドネシアのeコマース市場 - 急成長により日本、アメリカを上回るデジタル化を遂げた2.7億人の消費者市場 -



インドネシアのEC化率は20%に達し、すでに日本や米国等の先進国以上の水準

2020年度、インドネシアのEコマース市場は同年の小売売上高全体の約20%を占め、2016年のわずか2%から大幅に上昇し、過去最高を記録した。これは、7%弱の日本を大幅に上回るほか、約10%の米国はじめ、フランス、スペイン等の先進諸国と比較しても高い。コロナ禍を契機とするデジタル化はもはや世界的なトレンドだが、インドネシアも例外ではなく、デジタル化急拡大の触媒として作用した格好だ。


Google社、Temasek社、Bain & Company社により公開された東南アジアのEコマース市場に関する調査「E-conomy SEA 2020」によれば、2020年のインドネシアにおけるeコマースの総商品価値(GMV)は320億米ドル(約3.2兆円)に達している。




地場ECが強く、市場成長と併せてプレーヤーの“多層化”の潮流

インドネシアのeコマース分野では、国産のマーケットプレイスであるTokopedia、加えてSea Group(シンガポール)のShopeeが依然として先頭を走っている。両社は、Lazada(シンガポール)、JD.com Indonesia(中国)などの他の競合企業よりも高い市場浸透率を誇る。


市場成長と併せて、プレーヤーの“多層化”のトレンドも注目される。TokopediaはスーパーアプリGojekとの合併によって、Gojekのプラットフォームを活用した経済圏の構築により、競合他社との差別化を図るだろう。一方、同じくインドネシアのローカル企業であるBukalapakは、インドネシア全土のママ&ポップショップに焦点を当てている。なお、Bukalapakはマイクロソフトやテマセク等から資金調達を実施しているが、非公開ながらも企業価値評価額は10億ドルを超える“ユニコーン”企業であり、近日IPOを予定しているとロイターが報じている。


地場企業の強さ、多層化のトレンドは他のアセン諸国では例を見ない水準である点は、インドネシア市場に特徴的である。




消費チャネル/タッチポイントは“モバイル・ファースト”

インドネシアではB2Cの電子商取引を行う際に最もよく使われるデバイスはモバイルデバイス(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルテックデバイスなど)であり、2019年第3四半期には回答者の約80%がモバイルデバイスを使ってオンラインでの購入を行っている。このシェアは、ASEAN主要6カ国の中で最も高い。


スマートフォンの普及率自体は域内で最も低い(2018年は56.5%)にもかかわらず、モバイル端末を使ったオンライン購入が非常に普及した一因は、PC(デスクトップ/ラップトップ)の一般普及を待たずしてスマートフォンを中心とするモバイル端末が急速に拡大したことで、消費チャネル/タッチポイントが携帯端末がデファクトとなる、いわゆる“モバイル・ファースト”の市場特性にある。




インドネシア政府は、国内の電子商取引産業を支援するためにデジタルインフラと物流の改善を推進

インドネシア政府は、国内の電子商取引産業を支援するために、デジタルインフラと物流の改善に取り組んでいる。


インドネシアは群島国であり、その地理的条件が交通インフラの発達を妨げる要因となってきた。しかし、交通インフラが整備されていないことは、物流上の問題を引き起こす一方で、インターネット販売を促進する要因にもなるとも言える。CNNによると、2017年に夕方のラッシュアワーの渋滞が最も深刻だった都市として、ジャカルタはワースト4位という水準にあり、消費者にとって実店舗からオンラインショップに移行する恩恵は大きい。


インドネシア政府は、2020年の281.0兆IDR(前年比47.3%増)に対し、2021年は413.8兆IDR(2021年に提案された政府支出総額の15.0%)をインフラ整備に割り当てた。当該予算は、デジタルインフラの改善と物流・接続性の向上等に向けられるといわれる。このようなデジタルインフラや物流・接続性の向上は、電子商取引業界の市場成長を促進するものと思われ、今後の動向が注目される。


 

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