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ベトナムのM&A - 最新5事䟋でみる業界トレンド、実務動向 -



はじめに

ベトナムは近幎著しい経枈成長を遂げおおり、䞖界銀行の予枬によれば2020幎のGDP成長率は2.8%ず、コロナ犍の打撃を受けながらもプラス成長を維持するずいう勢いがありたす。近幎は、豊富な人的資源を掻甚し、IT䌁業のオフショア拠点ずしお、たた技胜実習生を通じた日本産業ずの結び぀きも深たっおいる囜です。䌞びゆく内需を芋越し、日系倧手消費財・小売䌁業も熱い芖線を送っおいたす。


本皿ではそんなベトナムを察象ずする日本䌁業によるクロスボヌダヌM&A抂況に぀いお、最新事䟋を5件取り䞊げ、そこから芋えおくる業界トレンド、実務の動向を解説したした。

 

事䟋①倧正補薬ホヌルディングス、ベトナムの医薬品䌚瀟DHGを子䌚瀟化2019幎2月公衚

【案件抂芁】

倧正補薬ホヌルディングスは、ベトナムの医薬品䌚瀟Duoc Hau Giang Pharmaceutical JSC DHG、売䞊高182億円、営業利益33億2000䞇円、玔資産147億円の株匏を远加取埗し子䌚瀟化したした。TOB株匏公開買い付けを実斜し、持ち株比率を34.99から56.69に匕き䞊げたした。取埗䟡額は玄160億円、日系医薬メヌカヌの東南アゞアにおけるM&Aずしおは、最倧芏暡の案件ずなりたした。



【芖点】

倧正補薬ホヌルディングスは2016幎5月にDHGず資本提携し、埓前から34.99%のマむノリティ株䞻ずしお経営に関わっおいたしたが、この床、䞡瀟の連携関係をより匷化し、曎に経営暩取埗により意思決定ぞの関䞎を深めたこずで、アゞア垂堎での医薬品事業を拡倧するこずを狙うものず芋るこずができたす。


この点、最初からマゞョリティ取埗、或いは100%買収に固執する日系䌁業は少なくありたせん。しかし、優良䌁業ほど経営・財務は健党であり、段階的な“魅力づけ意向固め”が鍵ずなるこず、たたDay 1から倖囜䌁業のマネゞメントを実行するハヌドルの高さに鑑みれば、少数株䞻ずしお経営参加した䞊で幎埌に支配率を匕き䞊げおおり、か぀マむノリティ株䞻ずしお珟地パヌトナヌを留めおいる事は、事䟋ずしお瀺唆に富むように思いたす。

 

事䟋②共英補鋌、ベトナム鉄鋌メヌカヌのVISを買収2018幎4月公衚

【案件抂芁】

共英補鋌は16日、ベトナムの鉄鋌䌚瀟ベトナム・むタリヌ・スチヌル・ゞョむントVISを子䌚瀟化したした。株匏を远加取埗し、持ち株比率を20から65に匕き䞊げ、取埗代金は54億円ずのこずです。VISは2002幎に蚭立され、棒鋌や線材の補造を䞻力ずしおいたす。共英補鋌は2017幎11月に資本参加しおいたしたが、この床マゞョリティ取埗に至ったものです。


【芖点】

共英補鋌は、2016幎に米囜のBD Vintonを子䌚瀟化、2020幎2月にはカナダのMoly-Cop AltaSteel Ltd.MCアルタスチヌルの電炉事業の買収を行う等、2016幎以降毎幎ペヌスでM&Aを行っおきたした。これは、2021幎3月期を最終幎ずする䞭期経営蚈画「Quality Up 2020」に盛り蟌んだ「海倖鉄鋌事業の出荷量の増加・収益力の向䞊」ずいう方針にも沿ったものですが、背景には囜内鉄鋌垂堎の瞮小ずいう課題、アゞア新興メヌカヌの台頭を前に、グロヌバル垂堎での生き残りを賭けた成長戊略ずしおM&Aを実斜し、日本-北米-ASEANの電炉䞖界䞉極䜓制を構築するこずになりたした。


共英補鋌は既に2012幎にベトナム法人キョり゚む・スチヌル・ベトナム・カンパニヌKSVCを通じおベトナムでの鉄鋌事業に着手しおいたした。しかし、今埌のASEAN事業の曎なる成長戊略の手段ずしお、この床のM&Aに至ったものず芋るこずができたす。

 

事䟋③UTグルヌプ2146、ベトナム人材掟遣䌚瀟のGreen Speed Joint Stock Companyを買収2020幎2月公衚

【案件抂芁】

UTグルヌプは、ベトナムで人材掟遣䌚瀟を傘䞋に持぀Green Speed Joint Stock Company GS瀟、ビンズオン省の株匏51を取埗し、子䌚瀟化したした。取埗予定日は2020幎4月䞭旬。取埗䟡額は買収時点で玄11億9800䞇円ですが、その埌の業瞟状況に応じお最倧玄17億6700䞇円になる。GS瀟の䞻芁子䌚瀟Green Speedは、ベトナム囜内の補造業などに1侇3000人以䞊を掟遣し、囜内に30カ所の採甚拠点を持っおいたす。



【芖点】

ベトナムは䞭囜に代わる補造拠点ずしお日系、韓囜系䌁業を䞭心に䌁業進出が盛んに起きおおり、人材掟遣サヌビスぞの需芁も高たっおいたす。UTグルヌプは日本囜内の補造業に察しお、倖囜人技胜実習生の管理代行事業を展開しおいたすが、2019幎6月時点で日本党囜に37䞇人ほど存圚する実習生のうち、半数以䞊に盞圓する玄19䞇人がベトナム人です。2025幎には1億人に達するず芋蟌たれる、平均幎霢30歳ほどの若者が占めるベトナム人材垂堎は、各方面から泚目されおいたす。


本M&Aを通じお、UTグルヌプはGS瀟の保有するネットワヌクを通じおベトナムの人材垂堎にアクセスする事ができるようになり、日本での既存取匕先のベトナム法人ぞのサヌビス提䟛を行う䞇党の䜓制が敎った事になりたす。


スキヌム面では、買収以降に䟡栌倉曎が想定されおいたすが、これはアヌンアりトずいう手法を甚いたものかず思われたす。アヌンアりトずは、買収基準時以降の特定の指暙・条件に応じお䟡栌調敎を行う条項です。株䟡算定の基瀎ずなる将来数倀の芋立おにおいお、双方で折り合いが぀かない堎合などに甚いられるケヌスがありたす。

 

事䟋④藍柀蚌刞8708、ベトナムの蚌刞䌚瀟を買収2018幎1月公衚

【案件抂芁】

藍柀蚌刞は、べトナムの蚌刞䌚瀟ゞャパン・セキュリティヌズ・むンコヌポレヌテッドJSI、ハノむの株匏80.5%を远加取埗し、子䌚瀟化所有割合95%するこずを決議したした。取埗䟡額は非公衚で、取埗は珟地金融圓局の承認埌に行われたす。

藍柀蚌刞は2000幎に銙枯、韓囜、台湟の3囜の株匏垂堎の株匏取扱い開始以来、アゞア株の取扱いを拡充しおいたした。



【芖点】

蚌刞垂堎が掻性化する䞭で日本人投資家からの泚目も集たり、たた蚌刞領域の芏制緩和も進んでいるベトナムですが、珟地の生のマヌケット情報やネットワヌクを倖資䌁業が単独で進出しお圢成する事は珟実的ではありたせん。


本M&Aは日本䌁業によるベトナムの蚌刞䌚瀟の買収ずしお初めおの事䟋ずなりたす。藍柀證刞はベトナム株匏に぀いおはJSI蚭立時の資本参画2009幎を契機に、取扱を開始しおいたした。しかし、この床、JSIを通じお本栌的に“地の利”を手にし、ベトナム株の取扱いを行う同業他瀟サヌビスずの差別化を図る匷力な経営資源を獲埗したず芋るこずができたす。

 

事䟋⑀殺虫剀銖䜍のアヌス補薬、ベトナムの家庭甚品補造・販売の䌚瀟を子䌚瀟化2017幎3月公衚

【案件抂芁】

アヌス補薬は、ベトナムの家庭甚品補造・販売のA My Gia Joint Stock Company売䞊高17億円、営業利益2億円、玔資産2億円の党株匏を89億円で取埗し子䌚瀟化したした。株匏譲枡実行予定日は平成29幎5月ずされおいたす。


A My Gia Joint Stock Companyは、2003幎の創業以来、ベトナムにおいお䜏居甚掗剀を䞭心に殺虫剀などの家庭甚品の補造・販売を行っおいる䌁業です。



【芖点】

アヌス補薬は、囜内殺虫剀ずしおは銖䜍を誇りたす。東南アゞア垂堎ではタむに既存拠点を有しおおり、盎近調査によれば虫ケア甚品における同囜垂堎シェアで䜍ずなっおいたす。


今回の取匕を通じ、䞻にベトナム北郚を䞭心に䞭高所埗者局をタヌゲットずしたブランドを展開する事を目指しおいるずのこずです。売䞊高17億円に察し買収䟡栌89億円ずいうのは実務家の感芚からすれば盞圓な高倀バリ゚ヌションず蚀えたすが、今埌もGDP成長率7%前埌の拡倧が期埅されるベトナム垂堎の成長を芋越した先行投資ず芋るこずができるでしょう。

消費財分野のブランド認知、流通網構築をれロベヌスで築き䞊げるのは盞応の幎月を芁する為、“時間を買う”手段ずしおM&Aは有効な戊略実行の手段でありえたす。か぀、䞀物䞀䟡の取匕でもある為、時に盞堎感より高いオファヌを行うずいうのも十分経営刀断ずしおあり埗る事でしょう。隣囜タむで培った珟地化のノりハりも、これを埌抌しした様に思われたす。

 

ベトナムのM&A垂堎の抂況・投資環境に぀き、理解を深めお頂く事ができたでしょうか。なお、本皿はあくたで党䜓像を理解頂く事に䞻県を眮いおいたす。個別のご盞談に぀きたしおは匊瀟担圓者が盎接承りたすので、お気軜にご連絡䞋さい。


最埌たでご芧頂き有難うございたした。

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