ベトナム、再生可能エネルギーへの投資高まり




ベトナム、再生可能エネルギーへの投資

2020年世界の再生可能エネルギー投資額ランキングでフランスやドイツを上回り、8位になったのがベトナムだ。ベトナムは、2020年に約8000億を太陽光、風力発電分野に投資しており、今後再生可能エネルギー大国となる可能性がある。本稿では、ベトナムで再生可能エネルギーの投資が進んでいる3つの理由を紹介し、再生エネルギー分野でのビジネスの参入機会について模索する。



経済成長に伴う電力需要

まず、ベトナムが再エネへの投資を進める理由として、ベトナムの順調な経済成長に従って増加する電力需要を補う必要性がある。2010年~2019年のベトナムの経済成長率は5~7%台で、この経済成長に伴い国内で産業が発達するにつれ、国内の電力需要が増加する一方で、石炭火力発電設備増強の遅れなどにより電力不足に直面することが懸念されている。東南アジア各国の年間電力費量(2018年度)を比較すると、ベトナムは首位のインドネシア(275TWh)に次ぐ、第2位の規模(227TWh)となっており、タイ(195TWh)やマレーシア(195TWh)を上回っている。さらに、国内の年間電力需要はベトナム電力公社の年次統計資料によれば、2030年には2020年の2倍以上の491TWh、2045年には2020年の4倍以上の877TWhまで拡大することが予測されている。


実際、現段階のおいても電力不足は表面化している。2020年の5月には、ベトナム政府は節電強化に関する首相指示20号を発出し、電力消費を全体で年間2%抑制するように民間に要請した。節電目標は対象によって様々で、公共照明、屋外の装飾や広告を扱う事業者は省エネ技術を導入するなどして20%電力節約しなければならない。このように、ベトナムでは経済成長に伴う電力不足が懸念されている。



ベトナムの豊かな資源・再エネ投資コスト減少

次に、ベトナムには、再生可能エネルギー設備へ投資し長期的に運転していくのに必要な天然資源が十分にあることが挙げられる。例えば、ベトナムは赤道付近に位置していて、1平方メートル当たり4~5キロワット毎時の日照に恵まれており、太陽光発電を行うには好条件だ。さらに、秒速5.5~7.3メートルの風が吹く3,000キロメートルの海岸線を南シナ海沿いに有しており、東南アジアで最大級の風力発電ポテンシャルを持つとされている。それに加え、近年、技術革新により太陽光発電や風力発電の投資コストは大幅に減少していることから、ベトナムの豊かな自然を利用した再生可能エネルギーの投資・開発が可能になっていることが伺える。



気候変動への対応と政府の再生可能エネルギー投資計画

最後に、ベトナム政府はすでに国際的に重視される温室効果ガス削減への取り組みを始めており、電力不足を補う手段として、石炭火力に頼れない現状がある。ベトナムは2015年9月に気候変動への努力目標をまとめた約束草案(INDC:Intended Nationally Determined Contribution)を作成し、同年12月に気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)でのパリ協定を採択し、INDCがベトナムの「国が決定する貢献」として位置づけられた。この採択によって、2030年までに温室効果ガスを国内の自助努力によって8%削減することが目標とされた。このような状況から、予想される電力不足に対して化石燃料で補うことができず、持続可能な発電を導入する必要性が生まれた。


再生可能エネルギーによって石炭火力を代替する国家戦略については、2020年の2月に共産党によって政治局決議55号「2030年までの国家エネルギー発展戦略と2045年までのビジョン」が提出され、再生可能エネルギーや温室効果ガス削減の目標値が定められた。ベトナム政府によって2021年2月に公表された第8次国家電力マスタープラン草案では、ベトナムの電源構成比は再生可能エネルギーが21%だが、2030年までに30%まで高め、2045年までには同割合を40%以上まで高める予定であることが示されている。

 


外国企業の参入機会

以上のような理由から、ベトナムでは太陽光・風力・バイオマスの分野で投資額が今後も増加することが見込まれる。太陽光発電については、すでに多くの発電所が運転開始していることから、別の方向からビジネスチャンスを模索する必要がある。例えば、ベトナムではO&Mの分野は十分に開拓されていない。発電所に遠隔監視システムを導入し、遠隔地から発電状況をモニタリングする技術や運転中に不具合が生じたときの復旧対応サービスに加え、発電所の用地や敷地管理に対してのノウハウや技術の需要があるだろう。



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